セーフティ教室(卑下と京王線事件)

こんにちは。教育コンサルタントでいじめ研究家の品田奈美です。

11月4日は、セーフティ教室として江東区の亀戸第二小学校で「いじめが終わる方程式」の授業を担当させていただきました。

5年生の3クラス約100名ほどの授業でしたが、ソーシャルディスタンスを考慮し体育館で行われました。体育館もきれいで講師の私も子ども達も非常に恵まれた環境の中での「いじめ防止授業」となりました。

当日の様子は、未来の子ども達プロジェクトのブログにアップされていますので、是非御覧ください。
https://ijimegaowaru-houteishiki.com/1494/

 

さて、私のブログでは授業の内容について書いていきたいと思います。


今回は、セーフティ教室ということもあって、(いじめ)予防のいう観点から5年生にもわかるよう、「いじめが終わる方程式」をお伝えさせていただきました。

 今回から、ちょっとキャラクターを使って、嫉妬や妬みの感情と卑下の感情について触れていきました。その新キャラクターの名前は、ジャジャジャーン!!!
シットマン」と「ひげっち

「シットマン」はその名の如く、私達に潜む嫉妬の感情を擬人化したキャラクター

そして、

「ひげっち」は、卑下の感覚を擬人化したキャラクター

 

どうしても、私達がいじめの世界を生み出してしまう根源の精神習慣として、「卑下」というエゴの型があります。自分自身を自ら下げてしまう癖が身についてしまいます。エゴ(自我)によって生み出されたこの卑下の癖は、本当に厄介です。

 しかし、日本人は、誰しも持っている癖だと思われます。元をたどれば、「男尊女卑」という感覚からきたものではないかと私は考えます。この「卑下」というものが、形を変えて悪さを及ぼしてしまうのです。

「卑下」の相対として「尊大」という感覚があります。これは、卑下が生み出した感覚で、卑下の変化した姿であり同じものです。「自分は、凄いんだ!」という感覚。酷くなると、まるで自分は「全知全能なんだ」という錯覚に陥ってしまいます。こうなってしまうと、相手のことが一切みれなくなってしまいます。

このような感覚の極限として、「人を殺したい」という感覚が生み出されてしまうのではないかと私は想像します。自分を愛しすぎることの裏返しとして、殺意が同時に存在しているということです。

この「殺したい」という殺意の根源として、学力でのコンプレックスというものも大きく関係していると思われます。これは、「学力」=「財力」としても捉えていただいても構いません。教育熱心な家庭から、このような「尊大」にやられた子ども達が生み出されているケースを多く見受けられます。

また、嫉妬の極限もやはり殺意が浮上してきてしまいます。自分の立場や居場所を崩されてしまうことへの恐怖からの嫉妬感覚、学力コンプレックスからの嫉妬感覚、兄弟姉妹の比較による嫉妬感覚など、私達の日常の中には、危ない落とし穴が潜んでいるのです。

また夫婦間での殺意についても、教育ママの妻を殺したいという願望を抱えた男性の相談を受けたことがあります。これは、夫婦の関係性の中で歪んだ卑下が、我が子や子育てに現れてくるのです。その夫は、マザコン夫でした。同じく妻も母親との共依存の関係性を持ち、教育ママに育てられた女性でした。卑下感覚を持った両親に育てられた男女の姿の結末です。

教育ママになってしまう不安を抱えた卑下感覚の女性と、財力で尊大感覚になってしまう男性達は、まさに男尊女卑の姿そのものではないでしょうか。

現代の世間体や学力優位の社会情勢を本気で変えていかない限り、このような悲しい事件はなくならないのではないだろうか。

 

最近の京王線事件の犯行に及んでしまった男性の根源にも、肥大化したひげっち(卑下)が存在していたことと思います。
「自分なんて生きていたくない」「死にたい」という心の奥に、自分を愛せないカラクリが存在しています。しかし、一人では死ねないから他者を巻き込んで、注目を浴びて死にたいという捻くれた自己中心的な感覚が芽生えてしまうわけですよね。まさに、シットマン化したひげっちの姿。

 

しかし、

このようなエゴの感覚を持っている人というのは、本来の姿は、とても他者想いの優しい人物だったのではないかと私は想像します。人はもともと誰もが、そんな自己中心的に人の命を奪うような感覚など持っていません。しかし、どこかでボタンを掛け違い、それをそのままにしておくことで、エゴが肥大化し、あのような事件を生み出してしまうのです。

 

今回のような事件を見ると、万が一、我が子や自分の大切な人があの電車に乗っていたら、万が一我が子が加害者になってしまったら・・・と親御さんなら様々な恐怖を抱えたのではないでしょうか。
また、実際に怖くて電車に乗れなくなっている人もいることと思います。被害に遭われた方々やそのご家族の方を思うと、誰もが胸が痛みますよね。

これは、社会の問題です!!

私達自身の問題でもあります!!

 

あらゆる世の中の事件を引き起こしてしまう人物たちも、私達人間が育てたのです。私達人間が、すでにボタンを掛け違えていることを早くに気が付き、1日も早く真の人間教育を始めていかなければ、あのような悲しい事件は後を絶ちません。

子ども達に、何を伝えるのか。

どんな姿をみせていけばいいのか。

そして、事件を起こしてしまった人々を通して、我々大人たちがどうしたらいいのかを、改めてみんなで考えていきたいと、つくづく感じる今日このごろです。

 

さて、亀戸第二小学校の子ども達には、シットマンもひげっちも決して悪くないこと。誰の心の中にもあること。その自分が出てきた時に、自分をしっかり愛することの大切さを伝えさせていただきました。全てリアルの体験で、自分の中にある経験を通してお伝えさせていただきました。

そして、今回一番子ども達に伝えたかったことは、

私達の見えないものは、自分の身体

私達の見えているのは、自分の心

ということ!!
今まで、私達は、自分の心は見えないと思ってきました。しかし、本当は、そうではありません。

私達の心は、丸見えなんです!!

何をみても、そこに感じる世界は自分の心の中が映っている。こんなシンプルな当たり前のことを、なぜ教育の場で教えないのか。なぜ、当たり前のことを当たり前に伝えないのか・・・・

本当に不思議でならない。

ということで、今回はこのくらいで。また、感想文が届き次第アップしていきます。

 

5年生の担任の布施先生は、とても可愛らしい先生でした。若いパワーの教師が多い学校で、明るく前向きな教員の子ども達を見守る眼差しがとても美しかったです。ご縁に感謝いたします。

スタッフとして駆けつけてくれた未来の子ども達プロジェクトの入山さんと森川さん

みなさま、ありがとうございました。

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